日本人の英語力は世界と比べてどうなの?

英語学習・コラム

英語力に関して日本人ってどれくらいのレベルなんだろうと疑問に思っていらっしゃいませんか?

本記事では、

世界の国から見た、日本人の英語力ランキング
世界の言語から見た、日本語の難易度
日本語圏以外での英語の学習方法

などをご紹介します。
とても面白い内容だと思います。

それではいってみましょう!

 

日本人の英語力のランキング

日本人の英語力は世界とアジアでどれくらい?

EF EPI 2021 – EF 英語能力指数 から引用しました。

赤が日本紫がアジアの国です。
「アメリカ・イギリス・オーストラリア・ニュージーランド」など、英語を公用語として使う国は除外されています。

2021年、日本は112か国の中で78位です。

2018年は49位
2019年は53位
2020年は55位

と、どんどん下がってきています。

各国の英語教育について

日本と外国では英語学習方法に違いはある?
日本語の英語教育は諸外国と比べてどうなの?

これについて調べましたのでご紹介します。
最も大きな、致命的な違いがあります。それは、

外国では、「英語で英語を教える」
日本では、「日本語で英語を教える」

 

という点です。

 

そんなこと言っても、最初は全くわからないんだから仕方ないじゃん・・・

そう思う気持ちもありますよね。

最初は当然仕方ありませんが、基本英語を教わったらあとは英語での授業にシフトするのが日本では遅すぎる、もしくはシフトしないために差が生まれているといっても過言ではありません。

小学校における英語教育の開始を西暦で見ると、

タイ:1996年
韓国:1997年
中国:2001年
日本:2011年

となっています。日本の遅れが一目瞭然です。

英語への取り組み姿勢、教育方針でも、日本の英語教育は受験英語に偏っており、良い点を取るためという認識が高い現実があります。

いくつかの国の英語教育事情をご紹介します。

 

中国の英語教育の事情

小学校3年から英語教育が始まる
幼稚園から英語を習わせる家庭が少なくない

歴史的には、かつて中国ではロシア語の学習が盛んでしたが、1960年代から、ロシア語より英語学習者の割合が上回るようになります。

1978年に英語が大学受験の教科の一つとなり、1980年代に受験科目とする大学が増えエイゴンの需要が一層高まっていきました。

1990年代になり、TOEFLやIELTS、TOEICといった世界共通の英語能力試験を受験する生徒たちも爆発的に増加します。

今日では、国際語としての中国語の地位が高まった音により、英語の重要性は低いと考える中国人も少なくないという、他のアジア諸国にはない特徴も見受けられます。

過去に私が日本において、中国人と一緒に働いたことがありますが、彼らは中国語・日本語・英語の3か国語を基本的に話せます。

そして、半数近くは「日本語のほうが英語より話せる」といっていたのを思い出します。

 

韓国の英語教育の事情

1997年に起きた通貨危機により、国を挙げての英語教育改革が起こった
小学1年生から英語教育が始まる
文法・長文読解など受験教育から脱却し、スピーキング・ライティングなど
実践力を重視したカリキュラムが浸透

 

通貨危機をきっかけに掲げられた「英語を使える人材を育成する」という国家目標を実現するためのカリキュラムを設定し、なおかつ成果もあげているのが、韓国における英語教育の実情です。

 

フィリピンの英語教育の事情

小学1年生から英語教育が始まる
公用語の一つが英語である
小学3年生からは他の科目も英語によって行われる
日本の小学校6年間で英語に触れる時間:約200時間
フィリピンの小学校6年間で英語に触れる時間:約2000時間 (日本の10倍)

小学校3年生からは英語の授業だけでなく、他の科目も英語で行われます。

英語の授業単体に加え、英語による授業が展開されていくため、英語に触れる時間は小学校だけで膨大なものとなります。

日本の小学校で英語に触れる時間は200時間強とされていますが、フィリピンではその10倍の2000時間とも言われており、圧倒的な違いがあります。

シンガポールの英語教育の事情

アジアNo.1の英語力
小学1年生から英語教育が始まる
多民族国家であるため、それぞれの母語の学習も同時に進められる
英語を、外国語でなく「共通語」として身に着けることを目指した英語教育
「英語で」生活をするという意識が自然に培われるような教育となっている

フィリピンと同様、小学校の早い段階から圧倒的な量の英語に触れる機会があり、「英語で」何かをする力というものが自然に培われるような教育内容となっており、英語が得意になるうえで根本的に日本での教育環境と異なっています。

この点でフィリピンと共通点が多いといえます。

 

オランダの英語教育の事情

教育費無料
国をあげてバイリンガル教育に取り組んでいる
流ちょうで自然な英語を話せる、高度なレベルの教員がほとんど
耳から入った英語を理解し、話すことを重視
興味を引く楽しい授業

オランダには、早期外国語教育がさかんなVVTOスクールがあります。VVTOスクールとは、小学校1年生から外国語教育を導入する学校のことです。英語だけじゃなく他言語も学習できる環境が整っています。

※VVTOはオランダ語
Vroeg Vreemdetalenonderwijs
の略で、初期の外国語教育という意味

教員は「学問上や職業上の目的」で話せる、CEFRのB2という高度なレベルにある人がほとんどです。

※B2:学問上や職業上の目的で、柔軟かつ効果的に言語を用いることができるレベル

 

かといってスパルタ教育ということではなく、英語の歌を教員と一緒に歌ったり踊ったりすることから始まります。

英文法や単語を単独で授業で習うことはなく、教科書を使用する場合は大きな声で音読することを重視しています。

学校によっては、ポップスの曲を題材に英語を学んだり、生徒が興味を持つ動画をYoutubeで見たりすることもあります。

 

日本の英語教育の事情

上記の諸外国を見たうえで日本の英語教育を振りかえると、テストのための英語教育、受験教育という色が強いです。

学んだ英語をアウトプットする機会を仕事・ビジネスの場で強制的に作らない限りないに等しいため、ペーパーテストさえ通過できればリスニング・スピーキングは力を入れて勉強する対象から外れ、特にこだわらないという思考になるのもある意味仕方がないところなのかもしれません。

女性の社会進出がなされて久しく、男女問わず、全国的に人気のある大学に入れればという偏差値至上主義がはびこっているのも理由の一つです。

英語力の差は英語教育の内容だけじゃなく、環境にも表れている

このように、日本とは英会話力が上達するうえで、前提からして違う教育がなされているのが現実です。

フィリピンなどは、公用語の一つが英語となっており、公用語ではない国の英語教育と比較して、より高度なものとなっているのはある意味当然のことです。

フィリピンで英語を堪能に話すネイティブも多いため、周りの大人・英語によるコンテンツ、社会全体において英語に触れやすい環境にあるので、英語力の経験値に差が出ない方がおかしいくらいです。

また、シンガポールは多民族国家であるため、共通の言語として早期から英語を習得する必要性が高いため、おのずと語学教育の質が上がっていくのは当然のことです。

日本人が英語を話せない理由も、この環境を見ると、悔しいですが明白ですね。

日本語の難易度って英語圏からみてどうなの?

これについて面白いサイトを見つけました。

FSIという海外のサイトですが、

米国の外交官に言語を70年間教えてきて
「ProfessionalWorkingProficiency」または「Speaking-3/Reading-3」のスコアに到達するのに通常必要な時間を調査したデータがあります。

多数の言語を、英語圏の人から見た難易度で カテゴリ1〜4に分類しています。

カテゴリ4が一番習得が難しい言語です。

カテゴリー I言語:  24-30週間(600-750授業時間)

英語に似た言語を分類しています。

 

デンマーク語(24週間)

オランダ語(24週間)

フランス語(30週間)

イタリア語 (24週間)

ノルウェー語(24週間)

ポルトガル語(24週間)

ルーマニア語 (24週間)

スペイン語(24週間)

スウェーデン語(24週間)

カテゴリー II言語: 約36週間(900授業時間)

 

ドイツ語

ハイチ語

インドネシア語

マレー語

スワヒリ語

 

 

カテゴリー III言語: 約44週間(1100授業時間)

英語とは言語的および/または文化的に大きな違いがある言語です。

 

アルバニア語

アムハラ語

アルメニア語

アゼルバイジャン語

ベンガル語

ブルガリア語

ビルマ語

チェコ語

ダリー語

エストニア語

ペルシア語

フィンランド語

ジョージア語

ギリシャ語

ヘブライ語

ヒンディー語

ハンガリー語

アイスランド語

カザフ語

クメール語

クルド語

キルギス語

ラオス語

ラトビア語

リトアニア語

マケドニア語

モンゴル語

ネパール語

ポーランド語

ロシア語

セルビア・クロアチア語

シンハラ語

スロバキア語

スロベニア語

ソマリア語

タガログ語

タジク語

タミル語

テルグ語

タイ語

チベット語

トルコ語

トルクメン語

ウクライナ語

ウルドゥー語

ウズベク語

ベトナム語

 

カテゴリー IV言語:  88週間(2200授業時間)

英語を母国語とする人にとって非常に難しい言語です。

 

アラビア語

中国語-広東語

中国語-北京語

日本語

韓国語

 

 

その他

日本人が英語を話せない原因は?

上の方で述べた通り、教育・意識・環境 が主な原因だと思います。

小学校からの英語教育が始まったといっても、会話をする・英語で何かをする、もっと言えば何もかも英語で行う状況にならないと、なかなか会話力は身につかないと思います。

日本語の押韻がたった15個、英語は50個近くあり、50もの発音を近似的に15個に寄せてしまい、「日本語の発音に近いもの」で認識してしまう癖が染みついているのが、英語が苦手と感じる最大の原因です。

また、英語を、英語でなく日本語で学ぶということもご紹介したように、逃げ道として日本語をキープしてしまっているのも大きいです。

英語を勉強するには英和辞典を使わずに英英辞典を使うべきという点も含め、以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひご参照ください。

[英語が話せるようにならない理由は?【最も大事な発音の仕組みも解説】]

英語が話せるようにならない理由は?【最も大事な発音の仕組みも解説】
英語を話したいのに間違えるのが怖くて話せないと悩んでいませんか。英語のスピーキングで最重要な発音の仕組みと認識を改めることができます。

 

フランス人が驚く、日本人の英語への「恐怖感」

極度に日本人は英語で間違うことを怖がります。
面白い記事を見つけたのでご紹介します。

フランス人が驚く日本人の英語への「恐怖感」

少し抜粋します。

日本人は外国人と向かうとき、なぜあんなにも「英語をしゃべらなければならない」と自らにプレッシャーをかけるのか不思議でならないとのことです。

日本には英語以外に外国語は存在しないかのような風潮があり、フランス人の私を悲しくさせた。

コミュニケーションをとろうとしたときに「フランス語はしゃべれない」と恥ずかしがる日本人は誰もいなかったが、英語だけはまるで国民レベルの強大なコンプレックスが存在し、日本でしか感じたことがない体験だった。と。

フランス人は「日本人はほぼ全員英語ペラペラ」と思っている

日本の商品やアニメ、ゲームに英語が出てくることがあげられると思っている。

ローマ字や英語で書かれた店の看板がよく登場するし、野球や学校の制服なども、どことなくアメリカ文化の影響を受けているような気がする。

それらいろいろな要因が重なり、フランス人は「日本人は英語をみんな話せる」と思ってしまうかもしれない。と。

 (中略)

フランス人が感じた日本・日本人への印象を紹介しているので、興味があればぜひご覧になってください。とても興味深いと思います。

フランス人が驚く日本人の英語への「恐怖感」

まとめ

以上、日本人の英語力のランキング、諸外国の英語教育についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。なかなか興味深いデータもあったのではないでしょうか。

環境が違うのは仕方ないことですが、英語を学ぶ目的は、別にフィリピンと英語力を競争することではありません。できる範囲で努力していけばいいのです。

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